作問の仕方ーその1

初めに

皆さんこんにちは。PCTと申します。

上のツイートのような作問を公開させていただいています。

*1

 

今回は私がどのように作問しているかを何回かに分けて説明させていただきます。

 3回から5回にかけてこの記事を書いていこうかと思います。

是非見ていってください。

今回の問題・解説

 

今回説明用に作った問題はこちらです。

自然数x,yを用いてx^ 2-y^ 2=nと表すことができる1以上10000以下の自然数nはいくつ存在する?

 

まずは解いてみてください。

 

解説です。

 

まず左辺を因数分解します。

n=x^ 2-y^ 2=(x+y)(x-y)

x+yx-yは偶奇が一致します。

よりnとしては奇数×奇数または偶数×偶数で表されるもの

つまりnは2で2回以上割り切れるものと奇数が条件を満たす。

より当てはまるものは10000×\frac{3}{4}=7500

より解答は7500...

 

見事罠に引っかかっていますね

 

例示は理解の試金石ということでn=1の時を試します。

*2

この時はa=1,b=0で成り立ちますが残念ながら0は自然数ではないので1では成り立ちません。

コーナーケースですね。

これでb=0の時を上記から除けばいいことが分かります。

 

 

まずa合成数の場合は他に上記の式を満たす方法は存在します。

a=1の時は試したのでa素数になるときを考えてみましょう。

 

まず素数について考える時は真っ先に2について考えます。

なぜならこれがコーナーケースになる確率が高いからです。

実際今回の問題も2^ 24の時は成り立たないです。

 

後は奇素数について考えます。

ある奇素数pが与えられたとします。

この場合はa=\frac{p^2 +1}{2} , b=\frac{p^2 -1}{2}とすれば等式は満たしこれは必ず自然数です。

 

より上記7500から1,4を除いた7498が解答です。

 

いかかでしょうか。正解できましたか?ではこの問題の作り方です。

 

本問の作り方

この問題を作った方法です。

今回したことは"符号を変える"です

 

今回の問題は有名なピタゴラスの定理

x^ 2+y^ 2=z^ 2を利用しました。

まずこの問題の符号を変えてみます。

x^ 2-y^ 2=z^ 2

いかがでしょう。すでに整数問題っぽいでしょう。

けどこれだと移行するともとの式と変わりません。

 

では2乗をとってみましょう。

x^ 2-y^ 2=z

これで完成です。

後は制限をうまくつけてあげます。

今回は整数問題が作りたいのでzは整数にしようかと思ったんですがx,yを交換すればいいだけなので自然数にします。

x,y自然数でも整数でも変わりませんが0が使えなくなりコーナーケースを生まれそうなので自然数にします。

このように範囲を決める時はそれぞれの変数の特徴を見て決めましょう。

実際自然数にすることで1,4というコーナーケースを生むことに成功しました。

コーナーケースはあるだけいいというものではありません。

今回のように2パターン程度がちょうどいいでしょう。

 

これで本問

自然数x,yを用いてx^ 2-y^ 2=nと表すことができる1以上10000以下の自然数nはいくつ存在する?

 

の完成です。

簡単でしょう?

 

まとめ

 

ポイントは

  1. 有名な式を見つける
  2. その式の符号や乗などの特徴を変えてみる
  3. 範囲を変数ごとによく見て決める
  4. コーナーケースがどれだけあるかの確認

の4ステップです。

 

初めのステップは学校の教科書に載っているような簡単な式でも構いません。

実際今回もピタゴラスの定理から作りましたからね。

 

今回の問題はまあまあ簡単ですがJMO予選序盤~中盤に出てもおかしくはないと思います。(実際似たようなな問題は存在しました)

 

このような問題をいくつか作ってみましょう。そうすれば夢の自己流テストが作れたりします。

 

人に問題を解いてもらうのは楽しいですよ。

 

初めに紹介したような問題を作るにはまだポイントが必要ですがそれはまたの機会に説明します。

まあ僕の本気の問題って結構癖が強いんですけどね。

 

ではまた次回。

*1:上の問題はNumber.4に訂正がございます。

ご確認ください。

*2:数学ガールの有名なセリフです。回し者ではないですが読んだことのない方は面白いので是非読んでみて下さい。